コンソーシアムについて
代表阿尻教授ご挨拶
2019年度に始まった文部科学省「材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業【Materealizeプロジェクト】」”ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス”では、ナノ材料の材料設計基盤、プロセス設計基盤の構築を目指しております。世界を見渡すと、ナノ材料やナノ流体に関するデータベースが無いわけではありません。マテリアルインフォ―マティクス(分子構造と物性・機能相関)はもちろん、材料の複雑な階層構造と物性・機能相関の議論も進められています。ところが、そのような構造形成には製造時のプロセス条件が大きく関わってきますので、プロセスー構造相関がなければ、材料設計とプロセス設計を両立できません。材料構造形成とプロセス条件を結び付けるシミュレーション技術も発達してきましたが、そのために必要な物性パラメータを推算する手段がありません。すなわち、断片的なナノサイエンスは次々に生まれていますし、データもあるのですが、それらが材料設計やプロセス設計を行えるように構造化されていないために、実際には有効には機能していなかったのだと思います。
化学プロセスの設計基盤である、化学工学体系は、物性・相平衡推算からプロセス設計までの多階層の知識が「設計」を行うべく構造化されたものです。このような構造化した知識体系を、ナノ材料に対して創り上げることがプロセスサイエンスプロジェクトの目的です。世界のどこも行っていない大きな挑戦が、今まさに日本で進められています。その意味で、今まで得られた成果は、世界を大きく引き離しトップレベルのものとなっていると確信しております。
これを、さらにナノ産業技術基盤とすべく、多くの企業の皆様に使って頂く体系としてまいりたいと思っております。そのためには、産業界で求められるニーズに応えうる設計基盤として行かなければなりません。そこで、産業界のニーズを把握するために、コンソシアムを形成することといたしました。それを、産学官の情報交換の場、設計基盤構築の場としてまいりたいと思います。その活動を通して、この設計基盤を協働し一緒につくってまいりましょう。
従来の日本でのコンソシアムは、ある種、会員制クラブのようなものが多く、そこから何かが生まれるというものではなかったと思います。それに対し、このコンソシアムでは、より積極的に、SDGs、Covid19対応をはじめとするヘルスケア、Beyond5Gといった、未来の新事業創出を目指した、垂直連携を組む、欧米型のコンソシアム体制づくりにも挑戦します。
サイエンス基盤への挑戦、未来産業を見据えた挑戦、そしてそれらの連動です。ぜひ皆様とご一緒に、新たな産業技術基盤を築き上げてまいりましょう。
代表:東北大学教授 阿尻 雅文
設立趣旨
2019年、文部科学省の委託事業「社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業」において「ナノ材料の界面・構造制御プロセスサイエンス・プロジェクト(代表:東北大学 阿尻雅文教授)」がスタートしました。このプロジェクトでは、ナノ材料製品設計そして、そのための プロセス設計を合理的、かつ迅速に行う基盤づくりを進めています。
この産業技術基盤を企業の皆様と共に発展させ、社会実装に繋げていくために、コンソーシアムを設立することとなりました。本コンソーシアムでは、プロジェクトにおいて構築するナノ材料プロセス-構造-機能相関データベースを利用して新規のナノ材料技術、ナノ粒子ハンドリング技術等の開発を促進させることにより、企業様のナノ材料・ナノ製品の新規事業化につなげることを目的としています。
チーム型コンソーシアムによるナノ材料開発から製品開発までのオープンイノベーション
本コンソーシアムではナノ材料や製品開発における川上ー川中ー川下の企業を取り込んだ、欧州型垂直連携コンソーシアムを目指していきます。